1.3. 進化:生物学の統合テーマ
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生物は進化する
各々の種は遠い先祖種から時間軸の中を分岐しながら広がる「生命の樹」の1本の小枝 ヒグマとホッキョクグマのような、非常に類似した種は、生命の樹において、比較的最近の分岐点に位置する共通祖先を持つ 類似点は共通祖先の子孫であることを推定する根拠になる
さらに広範な生物間の類縁の証拠を、すべての真核生物細胞中に見られる類似点に見出すことができる さらに遡ると30億年以上前の原核生物の化石のみになる すべての生命はつながっている
その類縁関係の基盤は、初期の起源から今日の広範な多様性に至るまで、地球の生命を改変したプロセスとしての進化
生命のダーウィン的視点
今日生きている種は先祖種からの子孫であるという進化的見地を支持する証拠を整理
これは生命の普遍性(継承)と多様性(変化)の二元性をとらえた洞察に満ちた言葉である
例えば、クマの多様性はすべてのクマの共通祖先からのそれぞれ異なった変化に起因する
変化を伴う継承のための仕組みを提案した
自然選択
ダーウィンは特に、エクアドル沖に位置するガラパゴス諸島の動物の多様性に心を打たれた ダーウィンは、環境への適応と新種の起源が密接に関連したプロセスであると考えた
例えば、島を隔離する海などの地理的障壁により、1つの種の2つの集団がたがいに隔離されるなら、各々が地域環境に適応するに従い、見かけもますます変化していくであろう
多くの世代を経た後に、2つの集団は、別種であると認定されるのに十分なほど異なるようになるかもしれない
クマの1種の2つの集団が分離しはじめ、異なる気候に適応して、2つの異なった種として現代のヒグマとホッキョクグマの進化に帰結した ダーウィンはそのような適応を説明することが、変化を伴う継承(進化)を理解する鍵であることを理解した ダーウィンの必然的な結論
ダーウィンの論理
観察1: 過剰生産と競争
どんな種の集団でも、たとえば食物や住処のような、環境中で利用できる資源により生存可能な数より、はるかに多くの子孫を有無可能性がある
このような過剰生産は、限られた資源をめぐる集団のさまざまな個体間の競争につながる
観察2: 個体変異
どんな種の集団でも、各個体は多くの遺伝的特徴において異なる
集団の中のどの2個体も決して同じではない
人間の集団においてこのような変異が真実であることがわかる 慎重に観察すれば、すべての種の集団で変異を発見できる
結論: 繁殖成功度の差
生存競争により、地域環境に最適な特徴をもつ個体は、平均すると最も大きな繁殖成功度(生存力と繁殖力のある子どもたちを最も多く残す)をもつ したがって、生存と繁殖成功を強化するような特徴は、集団が世代を経るにつれて、大いに目立つことになる
そして、自然選択の結果、時間をかけて集団中に好適な変異が蓄積する適応が生じる クマの進化の例に戻ってみると、よく知られた適応は、毛皮の色
それぞれの環境で働く自然選択により生じた進化的適応を示す
おそらく、自然選択により、各々のクマの系統で、生活領域で最大の擬態効果を発揮する毛皮の色が選ばれる傾向があったのであろう
地表が最近の山火事でより黒くなった場所に移住した甲虫の集団の仮想的な例
自然選択が有益な特徴を持つ個体の繁殖成功を高める事により既存の変異に作用することに注意せよ
人為選択の観察
ダーウィンは、人間により家畜化や栽培化された動植物の品種改良の例において、不均等な繁殖の効果についての納得のいく証拠を見つけた 人類は、特定の形質を持つ株を選別育種することにより、数千年間にわたりいくつもの種を改変してきた 我々が食用に栽培する植物は、野生の先祖種にあまり似ていない
これは食物として利用する部分を数多くの世代にわたる人為選択を行って、収穫植物を好みに合うように改変したため 品種改良の効力は特に、鑑賞や実用性のために育種されたペットの例で明らか ダーウィンは人為選択においては、集団の遺伝的特徴を選択する際に、人間が環境の代わりをしたと理解した
自然選択の観察
人為淘汰がとても速くこのような大きな変化を成し遂げることができるならば、自然選択においても何百あるいは何千もの世代にわたって種のかなりの適応が可能であろうとダーウィンは結論づけた
現在、進行中の自然選択の多くの例が認識されている
古典的な例には、ガラパゴス諸島のフィンチが含まれる 20年にわたって、研究者は、大部分は小さな種を食べているガラパゴスフィンチの種の集団のくちばしのサイズの変化を計測した 乾燥した年にには、すべての種子が不足するため、鳥はより大きな種子を食べなければならない
より大きな、より強いくちばしの鳥は採餌に有利であり、より大きな繁殖成功をする
そのため、集団のくちばしの上下幅の平均値は増加する
湿った年には、より小さいなくちばしのほうが豊富な小さな種子を食べるとき効率がよい
くちばしの上下幅の平均値は減少する
そのような変化は、進行中の自然選択の測定可能な証拠である
ダーウィンによる『種の起源』の出版は、今日まで続く生物学的研究と知識の爆発的発展の火付け役になった
過去1世紀半以上にわたり、自然選択による進化というダーウィンの理論を支持する相当な量の証拠が蓄積された
それにより、ダーウィンの進化理論は生物学の中で最もよく記述された、最も包括的で、最も長寿命の説となっている
本書のあらゆる章で、我々は生物学のテーマを統合する進化との関連を強調する